
13/08/30
大学生の時の実話、不条理な点は結構自己解釈してるんで、思うところがあったら指摘してくれると助かります。
夏休みになると、よく旅に出てた。海外とか、自分探しとかそんな崇高なもんじゃなくて、18きっぷで知らない街まで行ってソバ食べて、風呂入って、みやげ買って帰って来るそんなレベル。
世紀末のようやくインターネットが普及しだした時代、携帯じゃなくてポケベルが最高の装備品。
これから向かう先の情報なんかも調べる方法がなくて、基本的にいつもノープラン、漫画喫茶に泊れるのはまともな方で、しばしば駅で野宿してた。
でもって、ある年の夏の日、関東某県のローカル線の終電に乗ってた俺は終点の一つ手前の駅で降りた。降りたのは俺一人、なんで降りたのかって言えば駅名に魅かれたから、ただそれだけ。
終点の次の方が知名度もあるし、大きな駅であることは想像できたんだけど、もうこの時点で駅寝だと腹はくくってた。結果的にこの判断がこれから始まる恐怖の一夜の始まりだったんだけどな。
人里離れた無人駅、のわりには駅舎は結構立派で、一晩過ごすのには問題なかった。
民家一軒ないので当然商店もないんだけど、自動販売機もあるし清潔感のあるトイレもある。そして嬉しいことに徒歩で歩いて行ける範囲に野天風呂(のてんぶろ)の看板があった。
夕方に一度別の駅の近くの温泉に入ってたけど、行かない理由もないのでその風呂に向かう。
温泉街の外れの山道を登ると、雑木林の真ん中にポツンとたたずむ小さな風呂と屋根。料金箱に小銭を入れてミニランタンを頼りに夜の風呂につかってた。
そうしてのんびりしてたんだけど、急に風が冷たくなった。霊が…とかじゃないからな。こりゃ雨になるなあ、と感じた俺はさっさと着替えると、再びふもとの駅に向かう。
ポツポツと降り出した雨が、駅に着くと同時に豪雨になってまさに危機一髪。俺さえてるじゃん、と自画自賛しながら駅舎の中のベンチに荷物を下ろして、ベンチに横になった。
舎内は暗かったけど、ホームを照らす明かりが改札越しにさしこんで、荷造りには特に困らなかった。
愛用の寝袋を出してそれに包まる、ミニ目覚ましの時間を始発前1時間にセットして眠りに着いた。
そん時な、初めて気がついたんだよ、駅舎内の違和感に。自分の物と異なる獣臭、暗闇に目が慣れてきて俺の目に映ったのは、駅舎のすみでヒザをかかえてうずくまる男の姿だった…。
心臓がドキンと跳ね上がるのを歯を喰いしばっておさえ込む。外はさっきから降り始めた豪雨。なんか遠くで雷も鳴り始めてる感じ。
俺、駅に入ってから結構ドタンバタンしてましたよね?ずっとそこで黙って見てたんですか?
ドキドキしながらその男の様子を見る。ヒザをかかえて体育座り。眠ったように顔をふせてるので表情はわからない。
チノパンにえり付きのシャツを着てて、俺よりまともな身なりに見えた。無造作にセットしたような髪と、太めの体はピクリとも動かない、ていうか寝息一つ聞こえない。
遭遇して1分もたってませんがこの辺で感じてましたよ、あれ、こいつ死んでるんじゃね?って。
「ぉ‐ぃ…」
おそるおそる小声で声をかけてみる。反応無し…。
パン!
いきなり拍手。反応無し…。
意を決し、さっきセットしたばかりのミニ目覚ましのアラームを現在の時刻にセットする。
ジリリリリリリ!!。反応無し…。
決定、こいつ死んでるわ…。
電車がついた時には駅舎に電灯もついていたんで、この男がいなかったのは間違いない。つまり俺が湯につかりに行ってた間にこうなったわけだ。
問題なのはこれが事件なのか事故なのか…、駅の外に公衆電話があったのを思い出して、とりあえず警察を呼ぼうと考える俺。
しかし万が一この男が本当に寝てるだけだったら失礼なわけで…、大きく足を踏み鳴らしながら男に近付く、んでもって顔を覗き込む、見なきゃ良かった…、口からヨダレみたいに血を流してるよ…。
いや、それでもと思いなおして腕に触れてみる。冷たいよ!かたいよ!死後硬直してますよ!死亡確認ですよ!
外に行こうと扉に手をかけた、その瞬間ふと考えた。あれ、ここで警察呼ぶと俺が第一発見者だよね?そしたら色々面倒なんじゃね?事情聴取されたり、下手したら犯人扱いされちまったり…。
少し考えよう…、思い直してベンチに座り直す俺。とりあえず寝袋その他を再びリュックに詰め直す。
電車を降りてから、今現在までのアリバイを考える、誰にも会ってねーよ!いや、こいつに会ってるか…。
いや待て、事故と言う可能性も、俺みたいに雨から身を守ろうとして駅舎に逃げ込んで座ってたら死んじゃいました♪的な…。
再び男に近付いてミニランタンをつける俺。うわぁ、首にあとが付いてますよ…、なんか縛ったような…。事件確定、もうやだ…。
とりあえず自分の身の潔白を示す上手い方法を思いついたら警察を呼ぼう。それがその時の俺の心理だった。
事件ならすぐに警察呼べよと思うし、死亡時間分かればアリバイなんていくらでも証明できそうな気もするけど、その時はそこまで頭が回らなかった。
下手に拘束されるとバイト行けなくなるなぁ、むしろそんな心配してましたよ。考えても考えてもメダパニる俺。
その時、俺の中の悪魔が囁いたんだ。逃げちゃえよ、と。死んだ男は赤の他人、俺と縁もゆかりもない土地、ていうか俺実際無罪、凄く魅力的な提案だった。
元々乗っていた電車の終着駅まで歩こう、朝には着くはずだ。そう思って扉に手をかけた時、雷鳴が聞こえた、ああそう言えば外は大雨でした…。
再びベンチに腰を下ろす俺、死体とこのまま一晩過ごそうか、明け方に雨があがったら脱出しようか、そんなことをもやもやと考えながらボーっとしてた。
そしたらな、なんとなく臭って来るんだよ、男の臭い、死臭って言うやつ。なんかやだなぁと感じる。ホームのベンチに座ってようかと改札をくぐる。
そしたら向かいのホームに待合室が見えた、こいつはラッキー、と階段を上って向かいのホームの待合室へ。
電気は消えてたけど、ベンチに座布団とか敷いてあって、想像以上に快適な空間だった。あの死体が無ければここで朝まで寝てるのに…、マジでそう考える俺がいた。
気がついたら寝てた、がっつり寝てた。外はまだ真っ暗なんだけど、業種によっては明け方と呼んでも差し支えないような時刻。
雨はすっかりあがって、都会では見られないきれいな星空が見えてた。うわぁやべぇ、と感じつつ橋梁を渡って駅舎に戻る。
なるべく死体を見ないように駅から脱出しよう、そう考えながら改札をくぐる。そしたら、死体が消えていた。瞬間蟷螂拳(とうろうけん)のようなポーズで戦闘態勢に入る俺。
死体が動き出した?実は生きてた?完全にパニックにおちいった俺。何をどうしていいか分からず、その瞬間大声で叫んだ、ワー!!とか、ウオー!!とかそんな感じ。
んでもって歌いだした、涙の数だけ強くなれるよ!!、そんな感じ。歌い終わってからようやくベンチに腰を下ろす。
ゼーゼーと息を切らしてたのが落ち着いて、それから頭が少しずつ冷めていった。
男が座っていた辺りを調べる、シミみたいのがついてた、血?ヨダレ?何とも言えない。室内の臭いをかいでみる、その時に気がついた。
昨夜は感じなかった臭いが混じってる。たぶんタバコの臭い、それもまだそれほど時間がたってない新鮮な感じ。灰皿も見てみたけど、濁った水に何本も吸い殻が入っていてよくわからんかった。
ベンチに座り直し、俺なりに考えてみた。男は実は生きていた、ぐっすり眠って、起きた後にタバコを1本吸って去って行った。
うん、一番理想的な結論だ。
でも多分違う。死体の観察なんてしたことないけど多分あれは死んでたと思う、じゃあ真実は何か?
誰かが男の死体を夜の駅に隠した、俺が離れの待合室で寝てる間にその誰かが回収した。タバコはその誰かが吸っていた。
おそらくこんな感じなんじゃないかと思う。
そう考えるとゾッとした。もしも駅舎にとどまっていたら、その誰かと遭遇してたわけだ。DQN?ヤ〇ザ?外国人?いずれにしてもかなりの確率で殺人犯なわけだ。
雨の中、夜道を隣駅まで歩いていたら?それもそれで危ない感じがする、その誰かが放っておかない気がする。ほんのささいな偶然が重なって、結果的に一番安全な場所に身を隠していた、その時はそう思った。
結局始発までその駅にいた。始発の30分くらい前、駅に入って来たよぼよぼのお婆さんがどれほど心強く見えたことか…。
昨晩知らない人が死んでました、とよくわからん通報をするわけにもいかず、俺の中ではなかったこととして処理されている。
地元に戻ってから毎日Yahooでその地方のニュースを検索したが、該当した事件は確認されなかった。
10年以上の月日が流れて記憶もだいぶ風化してるけど、キャンプや野宿をすると思いだす時がある。
何度か夢にも出てきた。雷鳴が轟く駅、眠っている俺、待合室に男が現れる、叫びながら逃げる、そんな感じ。
当時すぐに通報すれば、防犯カメラの画像なんかで解決したかもしれない、そう思うこともある。
しかし、まああれだ、あれは俺の妄想だった、あるいは夢だった、ということにしといて下さい。



コメント
コメント一覧 (35)
二十世紀末にポケベル?ポケベルは90年代中頃にはPHSに駆逐されてるだろ。
仮にポケベル全盛期だとするなら未だ防犯カメラはそんなに普及してないと思うが。
いや、報告者の言う世紀末が90年代を指してんなら合致すんだろ
PHSは90年代中頃から衰退が始まったみたいだし、防犯カメラも90年代に入って一般化始まったみたいよ
まぁ最後の10年間を世紀末と言っていいかはあれだが、ググってみたけど明確な基準はないみたいだし
防犯カメラは、後から思うとあの時話していれば防犯カメラの映像でって事だから
そこに防犯カメラがあったとは限らないんじゃないかな
現代の感覚で防犯カメラくらいあっただろ、と思ってる可能性がある
90年代に東京で大学生だった俺が考証すると一応、時代設定に間違いはない
無知が適当に「めちゃくちゃ」とか言ってるのはみっともない
90年代中盤まで、PHSが低価格で普及し始めるも大学生の所有率はまだそこまで高くない
PHSや携帯の所有者がせいぜい1~2割、ポケットベルが5割くらいか
2000年間際に各社携帯が価格を下げ爆発的に普及しメール機能も拡充されポケットベルは消えた
漫画喫茶が微妙な気もしたけど、考えてみるとぼちぼち普及し始めていたはず
自分は利用しなかったから正確には良くわからないけれど
飲み会などで終電を逃した場合に漫画喫茶、という人はいた
地下鉄サリン事件とかあった後だから防犯カメラはすごく増えていた
むしろ防犯カメラが増やされた時代だよ
駅に防犯カメラくらいあってもおかしくない、田舎の無人駅はどうだか知らないけど
私もそれ一番に思った
つか、人ころしておいて一旦離席するって
それしか考えられないよね
下手な事はせずその場を離れたのが
結果的には難を逃れる事になったんじゃないのかな?
被害者には悪いけど「通報しなきゃ!」とかしてたら、後ろからガツンとやられたかもしれないし
その間に死んで死後硬直して死臭がするというのは不自然だと思ったな。
死後しばらくは体温が残ってるはずだし。
これは以前ここで死んだ者の成仏してない霊体じゃないかな。
だから警察に電話して戻ってきたら消えてるとか・・・
他所から死体を持ってきたんじゃない?
例えば駅の外に置いていたら雨が降って来て中に隠した、とか?
当時の自分の無知無教養の言い訳として
ネットがなかったの他に調べようがなかったのと言う奴等何なんだ?
本当に大学生?漫喫はあるのに書店も図書館も無いのか?教科書以外の書籍も新聞も読まないのか?
あちこちに綻びがありすぎてどう考えてもクズ創作だろアホらし
一般家庭レベルでネットが普及し始めた頃にはもう携帯時代だったっつーの
ブロードバンド時代になってからようやくインターネットという呼称が周知されたんだしな
ベル全盛期はパソコン通信からISDN時代の頃だろ
その頃ネットしてたのなんてかなりディープなヲタだけだわPCもWIN3.1~95がようやくの頃だ
こんなのに釣られてるバカどものおつむの程度が知れるね
痛恨のミスだよな
丁度その頃大学生だったけどポケベルが現存して携帯が高嶺の花でパソコンが大学の研究室に
しかなくてYAHOO一つ使うのにわざわざ登校してたわ
「反対側にもホームがあって」ではなく、「駅舎=切符売り場 から見えるホーム」でしょ。
田舎じゃそっちの方が普通。
(線路またぐための階段を昇る手前に切符売り場とベンチがあるのが田舎じゃ普通)
それだろうね
自分は過去に死体発見して警察呼んだことあるんだけどさ、死後硬直とか死臭ってある程度の時間が経過しないと発生しないと聞いた
※13
普及『しだした』ころはまだまだポケベル全盛だぞ……
まさか自分の死体をはkk@えあsl」3@@\\\\\\\\\\\\\\\\\
YAHOOは1996年4月からサービス開始でその頃にはポケベルが全盛期(契約ピーク)。尚、携帯電話は1998年に契約者数でポケベルを抜いた。
つまり、1996年か1997年の話と考えるのが正解。
尚、PHSを挙げてる人も居るがPHSはピーク時(1998年)の700万人に対して携帯が3150万人なので意外と普及していない。
尚、関東での無人駅で徒歩圏内に野天風呂がある所はかなり限定されてる。
→仲間と合流してから回収
こんな流れだと予想
この年代の時に友人がパソコンのサークルで彼氏作ったりしてたから
普及しだしてた頃なのは間違いないよ
当時大学生だったかどうかでだいぶ感覚が違うのかな
まあベルは微妙に古い感じだけど携帯は持ってる子の方が少なかったかな
90年代半ばにIT企業に就職したオレがいうけど、インターネットが普及したてたと言えるのは90年代末。
それまでは普通にパソコン通信だ。
動画どころか画像もないただのテキストだけの画面。
つまり、報告者の作文は90年代末だと断言できる。
で、その頃ポケベルが最強?
ばかも休み休みに言え。
携帯電話はすでにそこそこ普及してる。
それよりランク下で、現在はすでに滅びつつあるPHSも安価な代替として出てきたところで、職場内線や学生が使い始めた頃。
人を無知とかいう前に、自分が無知で頭も悪いことに気づけって話。
報告者も、創作ってバレてるから、◯◯って言ってくれ、とか臭いこと言う必要は全くないw
ホント文盲だな
インターネットが普及しだしたころだけどバイトなどしている自分にとって現時点持っている最高の手段がポケベルってことだろ
こんなことも推測できないのかよ
長文なのにスッと入っていけた
あと
・終点の一つ手前の駅
・野天風呂
これだけで現場が結構絞れる気がした
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