15/12/20
小学校低学年の頃の話。 

オレがじいちゃんちの居間でテレビを見ていると 
急にふすまが開いて、じいちゃんがオレに手招きをする。

「裕太(オレの名前)、おもろいもんあるから見にいこ」 

というわけで、オレはじいちゃんと一緒にその『おもろいもん』を見に行くことになった。 

玄関から出て家の門までの間は、手入れも舗装もされていない
大きな空き地みたいになっている。 

門の手前には、いつもじいちゃんの車が3台止めてあるんだが 
今日に限って、見慣れない赤いスポーツカーが1台停めてあった。

「ほれ、あれや」 

じいちゃんはなぜか手に持っていた『ほうき』の柄を前にかざした。 
柄の先には若い男がいた。
じいちゃんとオレは少し距離を取って男を見守ることになった。

若い男はなぜかパンイチで大きな石の上に座っていた。 
男との前には綺麗に折り畳まれた男の衣服らしきものがあった。 

男は右腕で『狸の置物』の肩を抱き、狸の置物の耳元でなにかを囁いている。
頬にキスをしたり、左手で狸の置物の胸を弄ったりしている内に、
男の顔が紅潮していった。 

左手がミゾオチをさすり、お腹までをさすり、狸の玉まで来たところで

「ヒャー!」 

男は後ろにひっくり返ってしまった。



「もうええやろ、いい加減にしとき!」 

じいちゃんは笑いながら、狸の置物の頭をポカリと叩くと
後ろの茂みからバサバサと音がした。 

少しして、男が起き上がり、辺りをキョロキョロ見回している。
茫然自失の様子で、目も虚ろだった。 

「ほれ、はよ服きーや!」

「あっ!すいません!」 

大慌てで服を着た男は

「本当にすいませんでした!」

と言って停めてあったスポーツカーに乗って、出て行ってしまった。

「ははは、たまにこんなんがあるんや!」 

じいちゃんがまた笑った。



ばあちゃんから聞いた別の話。

ばあちゃんとじいちゃんが結婚してまもない頃。
ばあちゃんは若い女の肩を抱いて歩いているじいちゃんを見つけた。
のぼせ上がった顔をしたじいちゃんと、うふふと
いやらしい笑みを浮かべる若い女。

ばあちゃんは直ぐにピンときた。 

若い女が大きな玉袋を引きずりながら歩いていたからだ。 

ばあちゃんはすぐさま若い女の後ろに回り、怒りに任せて 
大きな玉袋を思いっきり踏んづけた。

バタン! 

若い女は前のめりに倒れて、消えてしまった。 

「ああッ!」 

一緒に倒れたじいちゃんはすぐさま我に返り、ばあちゃんに土下座して謝った。

ばあちゃんは色々とじいちゃんを問いただしたのだが、じいちゃんは

「それだけは言えない」

と頑なに詳細を述べるのを拒んだ。 

ばあちゃんからこの話を聞いた後、オレはじいちゃんに何があったのか尋ねた。 

「ああ、そんなこともあったな…」

とじいちゃんは照れくさそうに笑った後 

「裕太、狸はめちゃくちゃええんよ…」 

遠い目をしながら、じいちゃんはポツリと言った。 
詳細はわからないが、狸はとてもいいらしい。 

残念ながらオレはまだ体験していない。


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ほんのりと怖い話スレ その113