16/11/23
フリーターの頃の話です。 

当時、住んでいた安いボロアパートのお隣に、20代前半くらいの女性と
3歳くらいの男の子が引っ越してきた。 

特に引越しの挨拶などは無かったが、
外に出るタイミングが同じ時があって、あっちの方から声を掛けてきた。 

「隣に引っ越してきたAです。この子はスグルと言います。
ちょっと騒がしくしてご迷惑をお掛けするかもしれません」

ちょっとポッチャリですごいミニスカにヒール履いた、
いかにも水商売やってますって感じの母親だったけど、
話した感じがまともそうで、安心して俺も

「いえいえ、そういうの気にしないので大丈夫ですよ。スグル君宜しくね」
 
と声を掛けた。スグル君は物凄い人懐っこくて、俺が外に出ると
足にしがみついて来たり抱っこをねだったり、俺の家に来る彼女や友達にも懐いていた。

スグル君の母親によると、俺がバイトに行ってる時も、部屋の前で

「お兄ちゃんまだかな」

とソワソワしていたらしい。 まあ、可愛いなと思ってたはいたが、実は一つ悩みがあった。

スグル君の母親は週に何回か仕事に出かけていて、
そういう時は、おばあちゃん?が家に来ていた。 
何度か会ったことがあるが、これまた水商売やってますって感じのケバい50くらいのおばさん。 

このおばさんがスグル君を怒る声。 これがマジでうるさかった。 
まるで叫び声のようなヒステリックな感じで怒る。 
おまけに、おばさんの声がキンキンとしたような特徴的な声だった為、
余計うるさくイライラさせた。 

壁が薄いから丸聞こえで、

「スグル!何やってんだ!」

と。 

それに対しスグル君も泣き叫ぶ為、とにかくうるさかった。 
たまにバシッと叩く音も聞こえビクッとした事もあった。 

その言葉がインパクトがあり過ぎたのが、その当時飼っていたインコが

「スグル!」

を覚えてしまた程。 そんなある日、バイト先の本屋に母親がやってきた。



「(俺)さんのお宅にインコいません?」

「ああ、はい飼ってますよ」

「この間、スグルが鳥の鳴き声が聞こえるって言ってて」

「あ、うるさかったですか?」

「いえ、鳥がスグルって呼んでいると言っていたので気になって」

「ああ…」

「声、そんなに聞こえるんですね」

「え?」

「はっきりとは聞き取れないけど、スグル!何とかかんとか!
って言ってるって、すごく気になってるみたいで」

「あ、すいません!壁際に鳥籠が置いてあるから覚えちゃったみたいで…」

「そうですか…」

そんなやり取りがあった数日後。 
昼間、部屋でゲームをしているとアパートのドアが叩かれた。 
出てみると、スグル君親子だった。 

「実は引っ越すことになりました。スグルがお兄ちゃんに
最後に会いたいと言うので。色々ご迷惑お掛けしました」

「え、急ですね」

「実は…スグルを見てくれてた母が現金や通帳盗んで、スグルにも…。
なのでもし母親がこのアパートに来ても知らないふりしてくれませんか?」

「わかりました…」

それから何日か経った夕方頃、友達と2人で部屋で話をしていると外から、
ドンドンドンドンドンドンと玄関のドアを叩く音がした。

「おら!いねえのか!出てこいよ!」

どうやら、おばさんが隣の部屋のドアを叩いて叫んでるらしい。

2人で

「こええええ」

と小声になりながらビクビクしていた。

しばらくおばさんは騒いだ後、カンカンカンと階段を降りて帰って行ったようだった。 

友達と

「警察呼んだ方が良かったかな」

「いや、もう来ないだろ」

と話してる時にインコが突然

「スグル!コロスヨ!スグル!コロスヨ!スグル!コロスヨ!」

そんな言葉を今まで聞いたことが無かったので、かなりゾッした。
俺が知らない間に、あのおばさんはこんな事を言ってたのかと。

もう何年も前の話だけど、ニュースで子供が殺された話を聞くとこの事を思い出す。


590 :本当にあった怖い名無し@\(^o^)/ ID:Gzmi/134A.net
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