昔話だけど、お金絡みで露骨に態度を変える人を初めて見た時が衝撃だった。

父方の実家は、祖父の代から事業を営んでいて小金持ちだった。
と言っても大きな商売ではなくて、地元では少し裕福なほうに入るかな、くらいの規模。
(ちなみに今は畳んでしまっているので全然裕福でもない)

私たち家族はその祖父が事業をやっているのと同じ地域に、
近距離別居という形で住んでいた。(ちなみに家は祖父のものではなく父が買ったもの)

その事業の経理面でのアドバイザー的な仕事についていた
Aというおばさんがいたのだけど、強い者に媚び、弱き者に強く出るという、
絵に描いたような小物キャラの人だった。

私の父は長男で、まぁ順当にいけば父が事業の跡を継ぐような流れだったので、
Aは我が家にものすごい媚びまくっていた。
Aは自分の仕事の跡を娘に継がせたかったらしく、
事業の跡取りになる人に媚びを売りたかったみたい。
私に対しても会うたびに何かプレゼントを持ってきたり、べた褒めしてきたりしていた。
ただその媚び方があまりにも露骨というか、まだ子供だった私から見ても
下心が丸見えないやらしいものだったので、正直我が家ではあまり好かれてはいなかった。

ただ祖母がおとなしい人で、強いことを言ってくれる人に安心するらしく、
典型的なおばちゃんでガーガー言うAを信頼していたため、
Aは増長して、事業のみならずこちらのプライベートにも口を出すようになっていた。

そんな感じで跡取り候補の我が家に媚びを売っていたのだけど、
私が中学生だったときに、祖父が他界したのとほぼ同時に、父が病に倒れてしまった。
合併症もあり、もう余命も僅かしかないという状態になってしまったため、
事業は祖母が一時的にとりまとめ、将来的には叔母夫婦が継ぐことになるだろうということになった。
(諸事情あって叔母夫婦がすぐに継ぐことはできなかった)



そこからAの態度が急変した。
父が他界し、四十九日を過ぎた直後くらいだったか、我が家にAが訪れてきた。

お悔やみの言葉もそこそこに、私と母に向かってAが言ったのは

「で、いつあなたたちは出ていくの?」

だった。Aはガーガーと

「夫が死んだのだから妻子はここにいる権利はない」

「それとも図々しくここに居続けて祖母から金をむしるつもりか」

「娘(私)も学校をやめさせるべき。
父親がいない子供が私立に行くなんて生意気だ(中学から私立に行かせてもらっていた)、
学校を辞めて働け」

と言い募ってきた。
このとき言われたことは今でもはっきり覚えている。

私も母も、父が死んだばかりだし怒る気力もなかったが、
あまりに内容がひどかったので、私は母に途中で自室に行かされたから、
その他にも色々と言っていたようだけどよくは知らない。
言うだけ言わせた後、母が追い返したようだった。

Aの言っていることも、間違いではない部分もあると思う。
私立の学校は私自身辞めたほうがいいのか、と悩んだし。
だけどそれは我が家の問題であって、このことについては祖母や叔母夫婦を踏まえて、
我が家としての結論が出ていた。
それなのに赤の他人のAに、
何故あんな風に言われなければいけないのかと悔しくてあの頃は泣いた。

もうこの時点でAはだいぶ調子に乗っていたので、祖母の代弁のつもりだったんだと思う。
自分を信頼している祖母がしばらく経営するから、
この世の春みたいな気持ちだったんじゃない?と母も後日言っていた。

Aはこの後、私たちに言ったのと同じようなことを、どうやら祖母にも言ったらしい。
それで祖母が大激怒し、Aとの契約を打ち切ることになった。
(従業員ではなく契約?のような形だったらしい)

祖母は孫の中で私を一番可愛がってくれて、学校のことも
私立を辞めると言った私と母を押し留めて、これからも行くように
勧めてくれてたので、こうなるとは思っていたけど、
まさか本当にAが祖母にあのままの内容を言うとは思わなかった…。

塩まく勢いで追い出された形に近かったみたいで、
その後、私と母がAの姿を見ることはなかった。

それにしても、もとからこちらとしてはあまり好いていなかったとはいえ、
つい先日までうちに媚びまくっていた人間が、目的がなくなったからといって
ここまで露骨に態度を変えてきた瞬間は本当に衝撃だった。

今日、家にこもってたらふと昔のことを思い出したので書き込んでみた。


900 :1/32016/08/28(日) ID:bhp
今まで生きてきて凄く衝撃的だった体験 その12