メンヘラ

09/07/18
ストーカー被害に悩んでいる女の子の相談にのった。

26歳独身。女の子って歳でもないな。外見が若いって言うか幼い。若作りしてるのとはまた違う。

何ていうか……どこか現実を生きていないようなところがあって、夢想家なんだろうな、生活臭がしない。でも、悪い奴じゃない。いつもニコニコしていて教養も高い。

「疲れていた。それが甘えとなって表に出て、相手を誤解させた」

女の子の言い分はそんな感じ。

相手の男は30代なかばのサラリーマン。解決策として俺が彼氏役になって相手の男をあきらめさせる作戦開始。

彼女の家に行って雑談していたら、相手の男から電話来た。

「こいつの彼氏だけどあんた誰?」

こんな感じで話した。

「か、彼氏?彼氏って俺が彼氏じゃないの?」

状況は二股って事になるのか?まぁ、適当に話を作ってごまかす。

彼女の事愛してるのなら、もう少しゆっくりしたペースで付き合えないのか?とか、何でお前と会うのを拒否するか考えた事ある?

もっともらしい話で相手を追い詰める。

突然現れた「彼氏」に動揺し、そのうえその男からケンカ腰ではなく説教を食らうのだから勝てるわけがない。

それ以前に俺は最初から第三者的視点。男の気持ちも考えながら話を進めた。



「わかった。あんたの方が彼女を幸せにしてやれるみたいだ。」

コイツ自分に酔ってやがるw

「俺は身を引く。最後に一つだけ……」

「彼女と会いたいとか無しな」

「違うよ。あんたにアドバイスがある」

まぁ、自分のプライドを保ちつつ幕引きしたいのだろう。

「病院に連れて行ってやってくれ」

それだけ言って切れた。

俺に対する嫌味?それとも彼女に対する中傷?何にしても意味深な捨てセリフだなぁと思った。

手元にあるのは彼女の携帯。彼女は俺に礼を言ってる。ありがとう。コレでカレも少しは私の事あきらめてくれるはず。

相手の男から来たメールとか見ればもっと事情がわかるはず。

「何か飲む?」

「コーヒー」

サイフォン。2、3分かかると彼女が言う。好奇心に負けた。

「俺の携帯にメール送って良い?」

「良いけど何で?」

「メアド知らん」

「えー?メール送ってくれてたでしょ?」

「電話番号で送ってた。メアドは知らんぞ」

自分の携帯をいじってメールを送ろうとする彼女。

「空メールはやめろ。俺が書くからよこせ」

「はいはい。」

俺に携帯を渡しじっと見つめる。
ちっ。コーヒー淹れに行かねーのか。
作戦変更。

メールに「愛」と打つ。
予測変換「愛してるのに」→「どうして」→「死ねばいいと」→「思ってる」→「博」

「博」と打つ。
予測変換「博さんの」→「名前を」→「書いて」→「釘」

「釘」と打つ。
予測変換「釘打ったの」→「テレビの前で」→「死ねばいい」→「ザーッてなってる」

「愛してるのにどうして死ねばいいと思ってる 博さんの名前を書いて釘 釘打ったのテレビの前で死ねばいいザーッてなってる」

家に帰ってチョイと考えてみた。

「愛してるのにどうして?死ねばいいと思ってる?博さんの名前を書いて釘。釘打ったのテレビの前で、死ねばいい?ザーッてなってる(テレビが?)」

男は電話口で俺にこう言った。

「病院に連れて行ってやってくれ」

少し前に彼女からメールが来た。

「ありがとう。助かった。今度お礼したいから会って欲しいな。」

彼女が何をしていたのか知りたい。
好奇心に負けそうな自分が怖い。