祖父

17/01/15
これは本当に最近の話で、俺の母方のおじいちゃんの話だ。

俺は長男として生まれて、じいちゃんにとてもよくしてもらってた。

お菓子を作る工場で働いてたらしくて、16の時から死ぬほどしんどい思いをしてばあちゃんを食わしてたんだぞ、なんて話をよく聞かされた。

そんなわけでじいちゃんの家は裕福とは言えなくて、月の少ない小遣いでタバコと安い酒、図書館で借りた日本史の本を読んで満足だって言ってるようなおじいちゃんだった。

そんなじいちゃんが、ズボンを履くときに片足で立てなくなる、なんて言い出して病院に行くと癌だと言われた。

いつも元気に朝から散歩してたじいちゃんが、みるみるうちに病院のベッドで痩せて行くのを見てるのはつらかった。

あんまり長くないと本人も分かってたのか、家族と順番に1対1で話したいと言い出した。

なら子供からということで、いとこの弟から始まって、ばあちゃんが最後っていうことになったんだが、じいちゃんが、俺はばあちゃんの後だ、生まれるのが早かったんだから話し相手ぐらい最後にせぇ、とかたくなに言うもんだから、結局俺は一番最後になった。



そうして順々に話していって、ばあちゃんが泣きながら病室から出てきて、ついに俺の番になった。

じいちゃんに何はなそうかって考えてたんだが全然まとまんなくて、じいちゃんの話をただ聞こうと思って入ったら、じいちゃんはこう切り出したんだ。

俺は昔から貧乏で、おまえに残すような財産も作ってやれなかった。俺みたいなやつが何かを残そうとするなら何かにすがるしかなかったんだ。

きっと困ったときに何かに役に立つかと思ってずっと貯めてたものがある。

俺のタンスの切手を入れているケースを見つからないようにお前だけで見ろ。こうやって何か形として俺が生きた84年をお前に残せるのはそれだけだ。

その話を聞いたあと、俺は先に病院からばあちゃんの家に帰って、言われた通りに切手ケースをみた。少し大きいケースをあけると記念切手が多く入っていた。

きっと思いでのあるもんなんだと思って取り出して見ていくと、その下にクリアファイルにまとめられた新聞がでてきた。

なんで新聞なんか?と思ってみると宝くじの当選番号の一覧がびっしりと切り取られて整理されてた。

まさか、と思ってケースをひっくり返してみると、輪ゴムで止められたたくさんの宝くじがでてきた。

毎年買ってたみたいで、月の少ない小遣いから必死に貯めてくれたのかなって思ったら少し涙が出た。

せめてじいちゃんが生きてるうちに換金して、好きだった日本史の本なんか図書館じゃなくて新品で好きなだけ買ってやろうって思って換金所にもってたんだ。

みんな知ってたか?宝くじって換金の有効期限あるってこと。

かなりの枚数あった宝くじだが、大半が期限切れで、少し前に買った宝くじのあたり5100円にしかならなかった。

俺は、じいちゃんの俺の生きた証だ。大事に使えよ。って言葉にどう返事してやればいいかわからなかった。


502: 本当にあった怖い名無し ID:ZTIj8bws0
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