竹馬の友

15/05/01
うちの母方の実家が熊本県にあるんですけど。

ずっと実家に住んでいる母のお姉さんが、先日遊びにきました。

ちょうど『ターミネーター2』がやっていて、みんなで見ていたんです。その中のシーンで、核が落ちた瞬間かなんかの想像のシーンで、遊んでいた子供達が焼けちゃうシーンありましたよね。

あれ見ながら、

「瞬間で皮とかもズルっといっちゃうんだね、コエ~」

とか話していたら、おばちゃんがテレビ見ながらさりげなく、とんでもないことを言い出しました。

おばちゃんの長女がこの前双子を生みました。すごく華奢な娘さんだったんで、すごい難産だったそうです。

産む前はおばちゃんも不安で、眠れない日々が続いていた。そんな時に幼なじみから電話がかかってきた。

「Kちゃん(おばちゃんの名前)、私ね、今神様やってるのよ。たくさんの人たちを救ってあげてるの。Kちゃんも困ったことがあったらいつでも電話して。助けられると思うわ」

昔のままの非常に明るく感じのよい声で、彼女はこんなことを言いました。

あまりにも普通に言われたので、おばちゃんは

「ああ、そう…」

としか言えなかったそうです。

しかしその夜、自分の娘と生まれてくる赤ちゃんのことを考えると、おばちゃんも疲れていたのでしょう、そんなとんでもない電話でさえ、

「ひょっとしたら、これもなにかの縁かもしれない。明日頼んでみよう」

と思ったそうです。なにかすがるものができたせいか、おばちゃんはその夜、久しぶりに眠りに落ちました。



夢の中に、娘と、まだ子供の頃のままの幼なじみが出てきました。娘もなぜか妊娠しておらず、3人で仲良く遊んでいる夢でした。

幼なじみもニコニコしていて、お花畑のような所で、すごく幸せな夢です。マリのようなもので遊んでいました。

おばちゃんにマリが飛んできました。おばちゃんは胸で受け止めました。するとそのマリの中から皮がずるっとむけるように、大きな溶けかかった幼虫のようなものが出てくるではありませんか。

思わずおばちゃんは悲鳴を上げました。誰かに投げようとするも、そこは母親。とっさに娘より幼なじみのほうを見ました。

投げようとしても、幼虫のようなものは絡み付いて離れません。それを見て幼なじみは、ケラケラと狂ったように笑います。その目は全部黒目で、穴が開いてるようです。

幼虫の鳴き声と、幼なじみの幼い子供の笑い声が響くように重なります。

おばちゃんは飛び起きました。全身汗でびっしょりです。

「その時ね、私思ったのよ。あの幼虫はね、赤ちゃんだって。どうしてか分からない。人間の姿なんてもちろんしてなかったし、泣き声は獣のようだった。

でもね、絶対赤ちゃんだと思ったの。すごく不吉に感じて、その後せっかく連絡してきてくれた幼なじみに、怖くて連絡できなかったの」

その後、何とか無事に子供は生まれ、そんな電話があったことも忘れていました。

そしてある日、何気なくつけたTVのワイドショーに、その幼なじみの名前と、夢とはかけ離れた年老いた女性の顔が映し出されたそうです。

少し前にありましたよね。怪しげな新興宗教を信じて、死んでしまった我が子の皮をはいだら生き返ると言われ、その通りにしてしまった若い夫婦。

その夫婦が信じていた神様が、おばちゃんの幼なじみだったそうです。

その幼なじみは何不自由ない家庭環境にいたはずなのに、おばちゃんの知らない10年の間に何があったのでしょう。

おばちゃんは怖いというよりも、見ていて涙が止まらなかったそうです。

もし彼女に相談していたら…


熊本幼児遺体切り取り事件

病死した1歳8ヶ月の幼児を「生き返らせる」と、遺体をはさみで切り刻んだとして、熊本県警東署は2000年5月27日、熊本市出仲間、自称『超能力師』で健康食品販売、宮田千代子(59)と幼児の両親の同市出水、会社員、須頭健二(34)、春子(34)の三容疑者を死体損壊容疑で逮捕した。

調べによると、死亡したのは須頭容疑者の三男の徹哉ちゃん。須頭容疑者は、2000年4月上旬に徹哉ちゃんが死亡した後、宮田容疑者に「肉体は生きている。皮膚をはげば、徹哉ちゃんを復元できる」などと言われ、はさみで徹哉ちゃんの頭や腹、胸などを切り刻み、遺体を損壊した疑い。
遺体は腐乱が進んでおり、腹部などに皮膚をはいだような跡が多数あった。健二、春子の両容疑者は大筋で容疑を認めているという。

調べでは、徹哉ちゃんはぜんそくの持病があり、昨年数回にわたり、入退院を繰り返していた。須頭容疑者は、2000年1月ごろ、知人を介して宮田容疑者を知り、徹哉ちゃんの病気を相談。宮田容疑者は、徹哉ちゃんが亡くなる前から「治療行為」と称し、気功や祈とうなどの行為を行っていたという。

最近、徹哉ちゃんの姿が見えないことを不審に思った親族が、2000年5月23日に警察に相談。26日午前8時ごろ、警察が親族と自宅を訪れ、洋間で畳を一畳置いた上に布団が敷かれ、その上に裸のままあおむけの状態で置いてある徹哉ちゃんの遺体を発見した。
徹哉ちゃんには兄が2人いたが、両親が遺体のある部屋には入らないよう言いつけていたという。

出典:産経新聞(2000.05.28)